「AIツールが多すぎて、どれを使えばいいかわからない」
2026年現在、生成AIツールは急速に進化・乱立しています。選択肢が増えるほど、「とりあえず入れてみたけど使いこなせていない」という状況に陥りやすい。
この記事では、社内SEの現場目線で本当に使えるAIツール5つを厳選し、用途・料金・導入の優先順位を整理します。「全部入れよう」ではなく「まずこれを使え」という話をします。
先に結論:
- まず使うべき汎用AI → ChatGPT(GPT-5搭載)
- Microsoft 365環境 → Microsoft Copilot
- Google Workspace環境 → Gemini(2025年1月からWorkspaceに標準統合)
- 業務フローの自動化 → Power Automate
- ナレッジ管理・社内Wiki → Notion AI(2025年5月からBusinessプランに標準搭載)
① ChatGPT(汎用AI)|まず最初に使うべき一本
2026年時点の状況
2025年8月にリリースされたGPT-5が現在の主力モデルで、通常の質問には素早く応答し、複雑な問題には深い推論を行うGPT-5 Thinkingモードを自動で使い分けます。
以前のGPT-4o時代と比べて、VBAや PowerShellなど社内SEが使うスクリプト生成の精度が大幅に上がっています。
社内SE業務での活用場面
- VBA・PowerShell・Google Apps Scriptの叩き台生成
- 問い合わせ対応の返信文の下書き
- 手順書・マニュアルの初稿作成
- エラーメッセージの原因調査(Thinkingモードが有効)
- 技術仕様の調査補助
料金(2026年時点)
| プラン | 月額 | 用途 |
|---|---|---|
| 無料 | 無料 | GPT-4oへの制限付きアクセス。試し始めるには十分 |
| ChatGPT Plus | 月20ドル前後 | GPT-5 Thinkingを含む高度な機能が使用可能 |
| ChatGPT Team/Business | $25〜30/人/月 | 法人利用。データが学習に使われない |
⚠️ 業務で機密情報を扱う場合は、無料プラン・個人向けPlusは避けてください。法人向けのTeam/Businessプランを使うことで、入力内容がモデルの学習に使われません。
こんな人に向いている
「とにかく1つ試したい」「Excelの関数やVBAを日本語で指示して生成したい」という方が最初に入れるべきAIです。Microsoft・Google環境どちらでも使えます。
関連記事:ChatGPTでExcel業務を自動化する方法|社内SEが使える関数・VBA活用例
② Microsoft Copilot(業務統合AI)|Microsoft 365環境なら必須
2026年時点の状況
CopilotはMicrosoft 365のWord、Excel、PowerPoint、Outlookといった日常業務ツールに完全統合されており、普段使い慣れたアプリ内でAIの力を活用できます。Excelでは複雑な関数やグラフ作成、Outlookでは未読メールの要約や返信の下書き作成まで自動化できます。
社内SE業務での活用場面
- Excel:データ分析・グラフ作成・関数生成をチャット形式で指示
- Outlook:メールの要約・返信文の生成
- Teams:会議の自動要約・アクションアイテム抽出
- Word:手順書・報告書の整形・下書き
画面を切り替えずにAIを呼び出せるため、業務の流れを止めずに使えるのが強みです。
料金(2026年時点)
| プラン | 月額 | 用途 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Standard | 月2,100円〜 | Copilotは別途アドオンが必要 |
| Microsoft 365 Copilot(アドオン) | $30/人/月 | WordやExcelに直接統合されるCopilot機能 |
こんな人に向いている
Outlook・Teams・Excelを日常的に使っている会社向けです。ChatGPTとの違いは「コピペ不要でOfficeアプリ内で直接動く」点です。
関連記事:ChatGPT vs Copilot|社内SEが業務で使うならどっち?使い分け解説
③ Gemini(Google連携AI)|Google Workspace環境なら追加費用なしで使える
2026年時点の状況
2025年3月のGoogle Workspaceの料金プランおよびサービス構成の改定により、GeminiはオプションではなくGoogle Workspaceの各プランに「標準機能」として組み込まれました。
以前はGeminiアドオンとして別料金だったものが、Business Standard以上に標準統合されました。Google Workspaceを使っている企業は、追加費用なしでGeminiが使える状況になっています。
社内SE業務での活用場面
- Gmail:受信メールの要約・返信文の生成
- Google Docs:手順書の下書き・整形
- Google Sheets:データ整理・関数生成
- Google Meet:会議の自動要約・アクションアイテム抽出
また、最新のGemini 3は最大100万トークン以上のコンテキストに対応しており、長文の仕様書やログを一括で読み込ませての質問応答にも強いです。
料金(2026年時点)
| プラン | 月額(年払い) | Geminiの利用 |
|---|---|---|
| Google Workspace Business Standard | 月1,600円 | Gemini AIアシスタント標準搭載 |
| Google AI Pro(個人向け) | 月2,900円 | 個人Googleアカウント向け。業務データとは連携不可 |
⚠️ 個人向けの「Google AI Pro」と法人向けの「Google Workspace」は別物です。会社のGmailやDriveデータとAIを連携させるなら、法人向けWorkspaceプランが必要です。
こんな人に向いている
Google Workspaceをメインに使っている会社向けです。既にWorkspaceを契約していれば、今すぐ追加費用なしで試せるのが最大のメリットです。
関連記事:ChatGPT vs Gemini【2026年版】社内SEが業務で使うならどっち?
④ Power Automate(業務自動化)|定型業務を完全に手放す
2026年時点の状況
Power AutomateはMicrosoftが提供する業務自動化ツールで、Microsoft 365環境に組み込まれています。AIを使う前段階の話ですが、「手作業でやっていることを自動化する」という目的では、社内SEが最も使い倒すべきツールの一つです。
2026年時点では、Power Automate内でCopilotを使ってフロー作成を支援する機能も強化されており、「日本語で処理を説明するとフローが生成される」ような使い方も実用的になっています。
社内SE業務での活用場面
- メール添付ファイルの自動保存(SharePoint連携)
- SharePoint更新時のTeams通知
- 承認フローの自動化(フォーム入力→承認依頼→通知→ログ保存)
- 定期レポートの自動配信(スケジュール実行)
料金(2026年時点)
| プラン | 月額 | 用途 |
|---|---|---|
| Microsoft 365付属プラン | プランに含まれる | 基本的なフロー作成が可能 |
| Power Automate Premium | $15/人/月 | プレミアムコネクタ(外部サービス連携)が使える |
こんな人に向いている
Microsoft 365を使っていて、「毎日やっている手順が決まった繰り返し作業」をなくしたい人向けです。特にメール添付保存・通知・承認フローは難易度も低く効果が大きく、最初の自動化として最適です。
関連記事:社内SEが自動化すべき業務10選|ツール別の実装例つき
⑤ Notion AI(ナレッジ管理)|社内Wikiをそのまま賢くする
2026年時点の状況
2025年5月以降、Businessプラン以上に加入していれば、アドオンなしでNotion AIを利用することができるようになっています。
Notion AIは文章生成・要約・翻訳・Q&Aといった機能が、Notionのページやデータベース内で直接動きます。ChatGPTと違い、ワークスペース内の情報をコンテキストとして参照できるのが特徴です。
さらに2026年2月には「カスタムエージェント」が正式導入され、Slackやメールをトリガーにした定期レポート作成などの自律的な処理も可能になりました。
社内SE業務での活用場面
- 社内Wiki・マニュアルの作成・整形
- 議事録の自動要約・アクションアイテム抽出(AI Meeting Notes)
- 過去のナレッジ検索(ワークスペース全体をまたいだQ&A)
- インシデント対応手順書の初稿生成
料金(2026年時点)
| プラン | 月額 | Notion AIの利用 |
|---|---|---|
| フリー / プラス | 無料〜月1,650円 | 月20回まで(試用のみ) |
| ビジネス | 月3,150円 | AI無制限利用(文章生成・要約・AIエージェントなど) |
⚠️ Notion AIを業務で使い倒すにはビジネスプラン(月3,150円/人)が必要です。フリー・プラスプランは月20回の試用のみとなっています。
こんな人に向いている
「社内のマニュアルや手順書がNotionで管理されている」または「これからNotionで整理したい」という会社向けです。文書をChatGPTに貼り付けてやり取りする手間を省いて、ワークスペース内でそのまま使えます。
5ツールの比較早見表
| ツール | 主な用途 | 対象環境 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 文章・コード生成・調査 | どこでも | Plus 月20ドル〜(法人はTeam推奨) |
| Microsoft Copilot | Excel・Outlook・Teams内でAIを使う | Microsoft 365 | アドオン $30/人/月 |
| Gemini | Gmail・Docs・Sheets内でAIを使う | Google Workspace | Business Standard 月1,600円(標準搭載) |
| Power Automate | 定型業務の自動化フロー | Microsoft 365 | 基本プラン付属(Premium $15〜) |
| Notion AI | 社内Wiki・議事録・ナレッジ管理 | Notion利用企業 | Business 月3,150円(AI無制限) |
実務でのおすすめ導入構成
社内SEが一人で複数ツールを同時に管理するのは現実的ではありません。自社の環境に合わせて以下のどちらかの構成から始めることをおすすめします。
Microsoft 365中心の会社:
ChatGPT(設計・生成)→ Copilot(Office内での実作業)→ Power Automate(自動化)
Google Workspace中心の会社:
ChatGPT(設計・生成)→ Gemini(Workspace内での実作業)→ Notion AI(ナレッジ管理)
どちらの構成でも、最初に入れるべきはChatGPTです。環境に依存せず、「考える・書く・調べる」の全領域でカバーできます。
導入時に気をつけたいポイント
個人プランで業務データを扱わない
無料プランや個人向けプランは、入力したデータが学習に使われる可能性があります。業務で機密情報を扱う場合は、法人向けプランを使ってください。ChatGPTもGeminiも、法人プランでは入力内容が学習に使われないことが保証されています。
シャドーITを防ぐ
会社としてのルールを決めずに放置すると、社員が各自で無料版や個人プランを使い始めます。社内SEとしては「使っていいツール・ダメなツール」を先に決めて周知する役割があります。
関連記事:社内SE向けAI利用ガイドライン|情報漏洩を防ぐ実務ルールとテンプレート
スモールスタートが鉄則
いきなり全社展開より、IT部門・特定部署で先行試験導入する方が失敗しにくいです。「どの業務でどれくらい時間が削減できたか」を計測してから全社展開の判断をした方が、社内説明もしやすくなります。
まとめ
5つのツールの役割を改めて整理すると、以下のようになります。
ChatGPTは「考える・作る」の汎用AIとして、環境を問わず使えます。CopilotとGeminiは、使っているOfficeの環境(Microsoft or Google)に合わせてどちらかを選ぶ。Power Automateは定型業務を自動化し、社内SEの手作業をなくす。Notion AIは社内の知識・手順書をAIで管理・検索できる状態にする。
全部一気に導入しなくていいです。自分の職場で一番時間を取られている業務から逆算して、まず1つ試してみてください。

