「あのシステムの操作手順、どのマニュアルに書いてあったっけ?」 「このエラー、前にも誰か対応していた気がするけど、過去ログが見つからない……」
社内SEの時間は、こうした「情報を探す時間」に意外と多く奪われています。ChatGPTでテンプレートを生成するのは便利ですが、毎回プロンプトに社内ルールや前提条件を入力するのは手間がかかります。
そこで活用したいのが、ChatGPTのカスタマイズ機能「GPTs(マイ GPT)」です。社内のマニュアルや過去のトラブル事例を読み込ませることで、自分専用の「社内SE特化型AI」を短時間で作ることができます。
GPTs作成に必要なプラン
GPTsの作成には、**ChatGPT Plus以上の有料プラン(月額3,000円)**が必要です。無料プランでは他のユーザーが公開したGPTsを使うことはできますが、自分で作成することはできません。
なぜ社内SEに「GPTs」が必要なのか
通常のChatGPTはインターネット上の一般的な知識には強いですが、自社固有のルールは知りません。たとえば、以下のような情報はChatGPTに教えない限り答えられません。
- 社内VPNの特殊な接続手順
- 基幹システム独自のエラーコードと対処法
- 備品購入時の申請フロー
これらをGPTsの「Knowledge(知識)」として登録しておくことで、ChatGPTは「自社のルールを把握した専属アシスタント」として機能するようになります。
実践:「社内マニュアル検索Bot」の作り方
最も効果を実感しやすい「マニュアル検索Bot」の作り方をステップで解説します。
ステップ1:GPTs作成画面を開く
ChatGPTにログインしたら、画面左側のメニューから「GPTを探す」をクリックします。画面右上に表示される「+GPTを作成する」または「+作成する」をクリックすると、作成画面が開きます。
補足: ChatGPTのUIは頻繁に更新されるため、ボタンの表示名や位置が変わっている場合があります。見つからない場合は
https://chatgpt.com/gpts/editorに直接アクセスすると作成画面に移動できます。
ステップ2:「構成」タブで設定する
作成画面上部に「作成する」「構成」の2つのタブがあります。「構成」タブを選択すると、各項目を直接編集できます。
設定する主な項目は以下の通りです。
- 名前:GPTsの名前(例:ITヘルプデスクBot)
- 説明:何をするGPTか一言で(例:社内マニュアルに基づいて問い合わせに回答します)
- 指示:AIへの詳細な指示文(次のステップで詳しく解説します)
ステップ3:「指示(Instructions)」を入力する
「指示」欄に、このGPTがどう動くかを記述します。以下をそのままコピーして、会社名や内容を書き換えてご利用ください。
プロンプト例:
あなたは、〇〇株式会社のITヘルプデスク専用アシスタントです。
アップロードされたマニュアルに基づいて、社員からの問い合わせに回答してください。
【回答のルール】
- 専門用語は避け、ITに詳しくない社員にも分かりやすく説明する。
- マニュアルに記載がない場合は「不明」と答えず、「システム担当者へお繋ぎします」と案内する。
- 回答の最後には、関連するマニュアルのページ数を提示する。
ステップ4:「知識(Knowledge)」にファイルをアップロード
「知識」欄にある「ファイルをアップロード」から、手元の「システム操作マニュアル(PDF)」や「よくある質問集(Excel)」をそのまま追加します。これだけで、AIがその内容を優先的に参照するようになります。
ステップ5:保存と公開範囲の設定
右上の「保存」ボタンをクリックすると、公開範囲を選択できます。
- 自分だけ:自分専用の非公開GPT
- リンクを持つ全員:URLを共有した相手のみ利用可能
- GPT Store:GPT Store に一般公開
社内情報を含む場合は、必ず「自分だけ」または「リンクを持つ全員」を選択してください。
活用シーン:こんな業務が楽になります
新人への引き継ぎコスト削減
新しく入ったメンバーに「まずはこのAIに聞いてみて」と伝えられるようになります。同じ質問を何度も受ける手間が減り、教育コストの削減につながります。
障害対応の迅速化
過去のトラブル対応履歴をKnowledgeに読み込ませておくことで、類似障害が発生した際に過去の対応策を素早く確認できます。ゼロから調査する時間を短縮できるのは大きなメリットです。
定型質問の対応を自動化
「PCが壊れた時はどこに申請すればいい?」といった、本来SEが答えなくてもよい定型質問をAIに任せることができます。本来の業務に集中する時間が増えます。
セキュリティ面で必ず押さえておくこと
GPTsは便利な反面、設定を誤ると社内情報が外部に漏れるリスクがあります。以下の2点は必ず守るようにしてください。
公開範囲を「自分だけ」または「リンクを知っている人だけ」に設定する 「全員(Public)」にすると世界中に公開されてしまいます。社内情報を含む場合は必ず範囲を限定してください。
機密性の高いデータはアップロードしない 顧客の個人情報やサーバーのパスワードなどはKnowledgeに登録しないことが鉄則です。GPTsに読み込ませるのは「手順」や「ルール」の情報に限定しましょう。
まとめ
ChatGPTはそのまま使うだけでも十分便利ですが、自社の情報を与えて「育てる」ことで、日常業務の頼れる相棒になります。
まずはデスクトップに眠っている古いFAQ集やマニュアルをGPTsに読み込ませることから試してみてください。問い合わせ対応に費やしていた時間を、より重要な業務に充てられるようになるはずです。

