Power Automate Desktop vs Make.com|社内SE向け自動化ツールの選び方【導入・運用比較】

RPA・自動化

「PowerAutomateDesktopMakecom比較」で調べている方の多くが、どちらを選べばいいか迷っている状態だと思います。自分も最初は同じでした。


こんな状況、ありませんか?

  • 「とりあえずPADで自動化してみたけど、Slackに通知が飛ばせない」
  • 「Make.comで作ったフローが、社内の基幹システムに触れなくて詰んだ」
  • 「どちらのツールが何を得意としているのか、今でもよくわかっていない」

この選択を間違えると、作り直しが発生します。自分も一度やらかしました。


「とりあえず無料で使えるPower Automate Desktopを試してみよう」——。最初はそう考えていました。PC操作を記録するだけで自動化できる手軽さは魅力的です。しかし実際に運用してみると、「Slackにも通知したい」「Webフォームの投稿をトリガーにしたい」という要望が出てきて、クラウドサービスとの連携に壁を感じるようになりました。

デスクトップ型のRPAと、クラウド型のiPaaS。この2つのツールの特性を理解せずに選んでしまうと、後で「このツールではやりたいことが実現できない…」となり、作り直しの手間が発生します。

最初にそれぞれの得意・不得意を把握しておくことが、自動化プロジェクト成功への最短ルートです。

先に結論:どちらを選ぶべきか

比較項目Power Automate Desktop (PAD)Make.com
ツール種別デスクトップRPAiPaaS (クラウド連携ツール)
得意なことPC内の定型作業(Excel、アプリ操作)複数クラウドサービスの連携(API連携)
料金無料〜 (Windows 10/11に標準搭載)無料〜 (月1,000オペレーションまで)
こんな人におすすめ・レガシーシステムの操作を自動化したい
・ローカルファイルの処理がメイン
・SaaS間のデータ連携をしたい
・24時間365日、自動処理を動かしたい

結論から言うと、「PC内で完結する作業はPower Automate Desktop、Webサービスをまたぐ作業はMake.com」という使い分けが最適解です。

Power Automate DesktopとMake.comの概要

2つのツールは似ているようで、得意とする領域がまったく異なります。最初にここを押さえておくと、ツール選定の判断がかなり楽になります。

Power Automate Desktop (PAD) とは

Microsoftが提供する、PC上の操作を自動化するための「デスクトップRPA」ツールです。

  • 主な役割:
    • Excelのデータ転記や集計
    • 特定のフォルダにあるファイルの移動・リネーム
    • 社内システム(基幹システムなど)へのデータ入力
  • 特徴:
    • Windows 10/11に無料で標準搭載されています。
    • 「レコーダー機能」で自分のマウス・キーボード操作を記録し、そのまま自動化フローとして再現できます。
    • PC上の作業を代行するため、自動化の実行中はPCの電源が入っている必要があります。

Make.com (旧Integromat) とは

様々なWebサービス(API)同士を連携させるための「iPaaS(Integration Platform as a Service)」です。

  • 主な役割:
    • Gmailで特定件名のメールを受信したら、Slackに通知する
    • Googleフォームに回答が投稿されたら、内容をスプレッドシートに自動記録する
    • ChatGPTと連携し、問い合わせ内容の要約を自動生成する
  • 特徴:
    • クラウド上で動作するため、PCを起動しておく必要がありません。
    • 視覚的なビルダーで、サービスのアイコンを繋いでいくだけで連携フロー(シナリオ)を作成できます。
    • 1,000を超えるアプリ・サービスに対応しており、連携の幅が非常に広いです。

機能比較:デスクトップRPAとiPaaSの自動化範囲

理論よりも、具体的に「何ができるのか」を見るのが一番早いです。それぞれのツールが得意な業務を確認してみましょう。

どんな業務を自動化できる?

Power Automate Desktop (PAD) の具体例

PADは、APIが提供されていない古い社内システムや、ローカルファイルを中心とした業務の自動化に強みを発揮します。

  • 自動化例1:請求書データのExcel転記

1. トリガー: スケジュール設定(毎日午前10時など)。

2. 処理:
– 監視フォルダ内のPDF請求書を1つずつ開く。
AI Builder(OCR機能)で請求元、金額、日付を読み取る。
読み取ったデータをExcelの管理台帳の新しい行に追記する。
処理済みのPDFファイルを「完了フォルダ」へ移動する。

3. 効果: 毎月30件の請求書処理にかかっていた手作業(約3時間)が、15分程度に短縮されます。

関連記事:Power Automate入門|社内SEが最初に作るべきフロー3選【テンプレ付き】

  • 自動化例2:Webサイトからの情報収集(スクレイピング)

1. トリガー: 手動実行。
2. 処理:
・指定した指定したWebサイト(例:競合他社の製品価格ページ)を開く。
・特定のHTML要素(製品名、価格など)を抽出し、リストに格納する。
・リストの情報をCSVファイルとして出力する。
3. 効果: 手作業でのコピー&ペーストが不要になり、情報収集の鮮度と正確性が上がります。

Make.com の具体例

Make.comは、複数のクラウドサービスを「のり付け」するように連携させる業務が得意です。

  • 自動化例1:問い合わせ管理の完全自動化

1. トリガー: Googleフォームに新しい回答が送信される。
2. 処理:
・回答内容を取得する。
・担当部署のTeamsチャネルに「新規問い合わせあり」とメンション付きで通知する。
・回答内容をGoogleスプレッドシートの問い合わせ管理台帳に自動で追記する。
3. 効果: 問い合わせの見落としがなくなり、対応までのリードタイムが平均50%短縮されます。

  • 自動化例2:AIを活用した議事録作成アシスタント

1. トリガー: Google Driveの特定フォルダに音声ファイル(.mp3など)がアップロードされる。
2. 処理:
・文字起こしAIサービス(Whisper APIなど)に音声ファイルを送信し、テキスト化する。
・テキスト化された文章をChatGPTに送信し、「要点整理」「決定事項」「ToDoリスト」の形式で要約させる。
・整形された議事録をGoogleドキュメントとして保存し、関係者にメールで共有する。
3. 効果: 2時間の会議の議事録作成(通常1.5時間)が、約20分で完了します。

関連記事:社内SEにおすすめのAIツール5選|業務効率化に本当に使えるツールを厳選【2026年版】


失敗から学んだこと:ツール選定を間違えるとこうなる

実際にあった話として、問い合わせ管理をPADで自動化しようとしたケースがあります。「Googleフォームに回答が届いたらExcelに転記する」という処理を組んだのですが、PADはトリガーをPCに依存するため、担当者がPCをシャットダウンしている夜間や休日に届いた問い合わせは、翌朝PCを起動するまで処理されない状態になっていました。

「自動化したはずなのに、土日の問い合わせが月曜日にまとめて処理される」という状況が続き、結局Make.comで作り直すことになりました。クラウドサービスとのリアルタイム連携が必要な業務にPADを選ぶのは、ミスマッチの典型例です。


導入・運用コストと学習難易度を比較

自動化は継続が命です。コストと学習のしやすさは、ツール選定において外せない要素です。

項目Power Automate DesktopMake.com
料金(無料プラン)Windowsユーザーは完全無料1,000 オペレーション/月
料金(有料プラン)約2,000円/ユーザー/月〜$9/月〜 (10,000 オペレーション)
学習難易度★★★☆☆ (UI要素の指定など少しコツが必要)★★☆☆☆ (視覚的で直感的)
導入のしやすさ非常に簡単 (Windowsに標準搭載)簡単 (Webでアカウント作成するだけ)
運用上の注意PCのスペックや画面解像度に影響されるオペレーション数(タスク実行回数)の管理

⚠️ よくある落とし穴: Make.comの「オペレーション」は、シナリオが1回動くことではありません。シナリオ内の各モジュール(処理の1ステップ)が実行されるたびに1カウントされます。ループ処理などを使うと想定外に消費することがあるため、テスト段階で実行回数を確認するクセをつけておくことをおすすめします。

実際に使ってみた結果

  • かかった時間: PADの初期設定は約1時間。ただしUI要素の指定に慣れるまでに追加で2〜3時間かかりました。Make.comはアカウント作成から最初のシナリオ稼働まで約45分です。
  • 削減できた時間: PADで請求書転記を自動化した結果、月3時間かかっていた作業が15分程度に。Make.comの問い合わせ自動通知は、1件あたり5分かかっていたメール確認・転記作業がゼロになりました。
  • 詰まったポイント: PADはWebブラウザのバージョン更新後にUI要素の指定がズレて動かなくなることがありました。Make.comはオペレーション数の消費量の把握に最初は戸惑いました。
  • 正直な感想: Make.comの方が圧倒的にとっつきやすいです。ただし、PADでしか触れない社内システムがある以上、PADを手放すことはできません。結局両方使っています。

結論(社内SEならこう使う)

PADは「APIのない古いシステムへの入力」専用ツールとして割り切り、クラウド連携が絡む自動化はすべてMake.comで組む——という分担が、運用負担を最小化する現実的な答えです。

社内SEはどちらを選ぶべきか?【業務内容別・結論】

最終的な結論は、「片方だけ」ではなく「業務内容に応じた使い分け、または組み合わせ」です。

Power Automate Desktopが最適なケース

PCの中で完結する、閉じた環境での定型作業を自動化する場合に選びます。

  • 具体例:
    • APIが公開されていない古い基幹システムへのデータ入力。
    • デスクトップ版のExcelやAccessを使った複雑なデータ処理。
    • VDI(仮想デスクトップ)環境での決まった手順の操作。

Make.comが最適なケース

複数のWebサービスやSaaSを連携させ、業務プロセス全体を自動化する場合に選びます。

  • 具体例:
    • Microsoft 365とGoogle Workspaceのデータ連携。
    • Webフォームからのリード情報をCRMとチャットツールに同時連携。 – AI APIを組み込んだ、より高度で知的な自動化フローの構築。

関連記事:ChatGPTで業務効率化する方法|社内SEがすぐ使える具体例5選

結論:2つのツールを組み合わせるのが最強

最も効果的なのは、両者の強みを活かすハイブリッドな使い方です。

  • ハイブリッド利用例:

1. Make.com: 外部からのメール受信をトリガーに、添付ファイルをOneDriveに保存する。
2. Power Automate(クラウドフロー): OneDriveにファイルが作成されたことをトリガーに、Power Automate Desktopのフローを起動する。
3. Power Automate Desktop: 起動後、PC上の基幹システムにそのファイルの内容を自動入力する。

このように、クラウドの柔軟なトリガーとデスクトップの確実な操作性を組み合わせることで、自動化できる業務の幅は一気に広がります。

まずは無料プランで両方を触ってみて、「この作業はPADが得意そうだな」「この連携はMake.comじゃないと無理だな」という感覚を掴んでみてください。PowerAutomateDesktopとMake.comの比較は机上の話で終わらせず、実際に手を動かすと理解が格段に速まります。

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